ロビタの骸骨のような顔を見た彼らの顔から、電池が切れるように、笑顔が消える。 小さな女の子が、怯えたように年上にくっつく。年上の男の子たちがヒソヒソと囁き合う。 ロビタの顔が、くしゃくしゃっと歪んだ。 子供って正直だな、とユーリは思った。いいぞ、もっとやれ。 すると、ロビタはくるりと後ろを向き、岩窟のモザイクに顔を顔を埋めるなり、叫んだ。 「おれを見るな!」 その叫び声に、子供たちだけでなく、思わずユーリも体を震わせた。 子供たちは、イジドール語で何か言いながら、一斉に逃げていく。 ユーリは逃げることも出来ず、ただ立ち尽くして、壁に頭を打ちつけるロビタを見つめることしか出来ない。 カラスの悲鳴のようにしわがれた声で、ロビタは叫び続けた。 「おれがいったい何したってんだ! 好きでこういう顔に生まれたんじゃねえのに! みにくいってだけで、きもちわるいってだけで、おれには、生きてる価値もねえのかよお!」 赤やオレンジの美しいガラス片が額を割り、ロビタの顔面に血が滲んでいく。 ユーリは何も言えなかった。 この醜い男が、イオキを憎んでいるのは知っていた。 クレーター・ルームから逃げる列車の中で、ホテルからイオキを拐ってきた彼と合流した時から、 彼のイオキを見る目つきは、尋常ではなかった。 -------------------------------------------------- |