そこで四人は屋上から下り、地下へ下りていった。

 途中の廊下では、電話が鳴り響いていた。 ルツは受話器を取って耳に当てたが、しばらくすると無言で切り、電源コードを抜いてしまった。

 レインはルツにしがみついたまま、地下へ下りていった。
 地下工房はいつもと同じように、ひんやりと静かだった。
 黴と水と薬品の匂いが混じった、地下工房独特の匂いを嗅ぐと、レインの気持ちはすうっと落ち着いていった。 同時に、使骸の左手がまだルツの服の裾を握っていることに気づき、何となく恥ずかしい気持ちになって、手を離した。

「さて、どうしたものかしら」

 ダンボールに腰かけて腕を組むルツに、マリサが尋ねる。

「あの人たち、何なの?」

「色々ね。インタビューに来たテレビ局や、人権団体や、ただの野次馬などなど。皆とにかく、レインを見に来たのよ」

「お兄ちゃんが新聞に載ったから?」

「そう」

「でもお兄ちゃん、写真撮られるの嫌いだし、喋れないからインタビューに答えられないよ」

「しかも、どうせこの子の気持ちも考えないような、無礼な質問ばかりでしょうしね」

ルツは大きなため息をついた。

「でもまあ、無視していれば、そのうち飽きて別の話題へいくでしょう。 御近所さんには迷惑になって申し訳ないけど、しばらくは家に篭城して……」

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