「今晩には出航だってのに、随分ギリギリまで商品を入れるんだね」 「もしかしたら商品はとっくに積み終わっていて、今積んでいるのは航海に必要な物品かもな…… 扱いも手荒だし、 エイト・フィールドの人間が見張ってる様子もないから、多分、そうだろう」 タキオはズズ、と底に残ったバナナジュースを吸い上げた。 「その方が好都合だ」 音も高らかに、空になったコップをテーブルに置くと、タキオは立ち上がった。 「行くぞ」 「ええ?」 まだ半分ほど残っているオレンジジュースを手にしたまま、ニルノは目を白黒させた。 「も、もう行くのかい? 心の準備が……」 「いつまでもここで偵察してても、仕方ねえだろ」 「でも、奴らに見つかったら……」 「ワルハラからこっち来る時だって、同じ方法で上手くいったじゃねえか」 「今回はわけが違うよ! 見つかったら蜂の巣だぞ?」 お前なあ、とタキオが思わずため息をつきそうになったその時、「ふうん」とロミが声を上げた。 「怖いんだ」 -------------------------------------------------- |