眉間に皺を寄せながら、タキオが言った。

「この二つがなきゃ、とてもじゃないが身動き取れねーよ。それに、もっと安全な隠れ場所を見つけないと」

タキオの左側で、ロミは黄色いタイル貼りの壁に身をもたせていた。エンジンの振動と、遥か船底から伝わってくる波の揺れを感じる。 ロミは首を傾げた。

「そんなこそこそ隠れなくても、いいんじゃない? 何千人もいるんだし、堂々と招待客みたいなフリしてれば、ばれないと思うんだけど……」

「駄目だ」

難しい顔で、タキオは首を振った。

「ウロウロすればする程、顔を覚えられる危険性は高まる。特に、今回は前回よりずっと子供の数が少ないはずだから、 お前は目立ち易い」

 自分が足を引っ張っている、と言われたような気がして、ロミは落ち込みかけたが、すぐに首を振った。
 そんな、タキオについていくと決めた時点で、まだ弱い自分が彼の足を引っ張るのは当たり前ではないか。 それでもついていくと決めたのだから、少しでも足手まといにならぬよう、頑張らなくては。

「分かった。じゃあ、どうやって手に入れる?」

 ロミが尋ねると、タキオは思案顔になった。

「そうだな…… 見取り図も日程表も、客に配られるようなのじゃなく、もっと緻密なのが欲しい。客の世話するパーサーなら、 両方持ってるだろ」

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