「じゃあ、私が取ってくるよ!」

とロミは意気込んで言うより早く、タキオはよっこらしょ、と立ち上がった。

「俺が取ってくる。お前たち二人はそこにいろ」

「……え?」

 同時に、二人の声が重なった。

「嫌だ! 一緒に行く!」

 タキオはきょとんとした表情で、ロミとニルノを見下ろす。
 二人は口々に騒いだ。

「一人じゃ危ないよ! 私にも手伝わせてよ!」

「こんなとこに置いてかれて、エイト・フィールドの奴らが来たり、君が帰ってこなかったりしたら、どうすればいいんだよ!」

「おい、ちょっ…… 二人とも、足にしがみつくな!」

 タキオに振り払われ、二人はごろんと後ろに転がった。拍子に棚にぶつかり、横板の間にかけられた、 中身の落下防止用ベルトを外してしまう。崩れてきたシーツの山の中でもがく二人に、タキオは言った。

「大勢でウロウロする方が危険だ! いいから、ここにいろ。すぐ帰ってくる。もし、二時間経っても俺が帰ってこなかったら、 救命ボートで脱出しろ」

 二人はシーツの中で騒いだが、無駄な抵抗だった。
 ようやくロミがシーツの山から脱出した時には、タキオはリネン室から姿を消していた。

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