ロミは自分の足を持ち上げようとした。
 しかし金色の使骸は、突然神経が切れてしまったかのように、ぴくりとも動かなかった。



 動いてよ!



 とロミは心の中で叫んだ。

 ここでこの人を殺さなきゃ、計画は失敗するどころじゃない。私たちの命が危ない。

 何の為に新しい足をもらったの。自分の足で歩いていく為じゃなかったの。彼と共に行きたいと、願ったからじゃなかったの。


「よすんだ」

 と、ニルノが声がした。

 寒風に吹かれる小鳥のように震えていたロミは、その声に、はっとして振り向いた。

 洒落た眼鏡も半分顔からずり落ちたニルノが、それでも瞳だけは真剣な表情で、こちらを見つめていた。

 どう応えて良いか分からないまま、ロミがその場に立ち尽くしていると、不意に、ニルノが目を見開いた。

「そいつから離れろ」

 低い、ハスキーな女の声がした。

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