「――って、まさか、エイト・フィールド主催の闇オークションに乗り込むなんて……」

 棕櫚の枝葉が濃い影を落とすオープンテラスで、ニルノはばん、とテーブルを叩いた。

「君、本気かい?!」

「ここまで来て、本気もへったくれもねーだろーが」

 小さな蘭のような花を飾ったバナナジュースを飲みながら、タキオは答えた。彼の左側に座るロミがノースリーブのワンピース一枚、 ニルノがハーフパンツにポロシャツという格好で額に汗をかいている中、彼だけは普段のジャンパー姿で涼しい顔をしている。

「あう〜」

 ココナッツミルクのコップを前に、隣の土産屋で買った木扇で顔を仰ぎながら、ロミはオープンカフェの店内に掲げられた温度計を 見た。

「暑いよ〜。三十五度? 嘘だよ。ユーラクの方が気温高かったけど、こんなに暑くなかったもん」

「レトーはユーラクよりずっと湿度が高いから、それで暑く感じるんだろ」

「いいか、よく聞いてくれ」

 何やら怪しげな七色の飲み物を、一気に飲み干すと、ニルノは宣言した。

「この辺ぐるっと観光したら、俺は帰るぞ」

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