巨大な亀の甲羅やハイビスカスの花輪が飾られた店内の奥へ行き、お代わりを注文するニルノを、ロミはじっと見つめた。

「……ワルハラでも言ったが」

 ぼそっとタキオは呟いた。

「レインの記事については、お前がニルノに『ひどい』とか言える立場じゃない。お前から聞いた話で勝手に記事を書いたニルノもニルノだが、 お前だって、考え無しに、ぺらぺらレインのことを喋っちまったんだからな」

ストローを噛んで、ロミはうつむく。タキオはため息をつき、右腕の調子を確かめるように動かした。

「だからもう、気持ちは分かるが、許してやれ。俺たちは、これから三人で行動しなきゃならねーんだから」

「……分かってる」

ストローを噛んだまま、ロミはぶすっと言った。

「でももうあの人には、何にも話さない。絶対」

 まあそれでもいいけどな、とタキオが苦笑すると、不意にロミは、不安げな瞳を上げた。

「ねえ、でも、あの人……」

 と、そこへ、二杯目を無難にオレンジジュースにしたニルノが、戻ってきた。ロミは口をつぐんだ。タキオはロミを見たが、 それきり彼女は顔を上げなかった。

「さて、それじゃあ、計画の確認といこうじゃないか」

 とニルノは言った。

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