「ロミ!」

 とニルノは彼女の元へ行こうとして、ベッドから落ちた。体がふらつく。散々吐いた上に丸一日以上食べていないのだから、当然だ。
 そんな彼を、膝をついてロミは彼を支えた。間近に見た金色の瞳は、安堵と焦りがないまぜになり、これまでになく切羽詰っていた。

「タキオは?」

「まだ合流出来てないし、エイト・フィールドは密航者に気がついて、私たちのことを探し回ってる。けどもう三日目なの。きっとタキオは、 作戦を実行するはず。作戦予定の場所に行けば、タキオに会えるよ。行って、私たちも手伝おう!」

ばさ、とロミは手にした紙を振ってみせた。

「船内見取り図と予定表は手に入れたから! さあ、ニルノも何か食べて! 予定の時間まで、後三時間しかないよ!」

 病み上がりの体を労わる暇もなく、ニルノはいそいでオリザに頼み、ルームサービスのサンドウィッチを注文してもらった。
 その間に熱いお湯で顔を洗い、髭を剃る。さっぱりしていくに連れ、頭が回るようになっていく。

 真っ先に、自分が不覚にも倒れたりなどしなければ、と言う自省の念に駆られるが、そんな場合ではない。ロミの言う通り、タキオは作戦を決行するはずだ。 不測の事態が起こったからと言って、易々と計画を中止するような男ではない。勿論、今この瞬間もこちらの居場所を探しているだろうが、 作戦内容は予め三人の間で共有しているのだから、最終的には作戦決行の場で合流出来るはず、という計算もしているだろう。

 何より、作戦が実行されるのなら、こんなところでのんびりしていられない。
 下手をしたらこちらも犠牲になりかねない、危険な作戦なのだから。

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