ニルノの喉元に、熱いものがこみ上げてくる。 「うわーん、タキオーっ!」 がば、と抱きつくニルノを、タキオは強引に引き剥がした。 「馬鹿、お前までくっついてくんな!」 「ロミは良くて俺は駄目なのかい! ひどいよ!」 「アホか。お前だって、俺に抱きつかれて嬉しいか? つーか重いわ」 タキオに抱きついたままなかなか離れないロミ、泣き笑いの表情を浮かべるニルノ、それぞれの仕方でひとしきり再会を喜んだ後、 タキオは真面目な顔になって言った。 「――で、何があった」 ひとまず扉を閉め、三人は近くの機械の上に腰を下ろした。 ようやくタキオから離れたロミは、鼻をすすると、話し出した。ニルノが倒れたこと、『東方三賢人』に匿われたこと、二日間、 タキオを探して歩き回ったことなど。 全て聞き終えると、タキオはため息をついた。 「そうか…… 俺が、浅はかだったな。悪かった」 「そんなことないよ!」 いそいでロミが言う。 しかし、続けて何か言おうとした彼女の言葉は、タキオがぽつりと漏らした呟きに遮られた。 「……そもそも、こんな作戦を考えついて、実行に移したこと自体が、馬鹿だった」 -------------------------------------------------- |