「き、君――」

 ニルノはわなわなと唇を震わせていたが、そこでタキオの胸倉を掴んだ。

「いつの間に、右腕が爆弾になってたんだ! 俺はそんな話聞いてないぞ!」

「でも、ユニコーン号を沈没させるとは言っただろ」

「それは聞いたよ! でもどうやって沈没させるつもりなのか、ずっと疑問だった!」

「仕方ないだろ。バッグに爆弾入れて船内を持ち歩いたら怪しまれるだろうし、中身を改められたら一巻の終わりだし。それにお前に 言ったら、絶対びびって、一緒に来ないだろ」

「当たり前だよ! ……ってロミ、君はもしかして、爆弾のこと知ってたのかい?」

けろりとした顔で二人の会話を聞いていたロミは、当たり前のように頷いた。

「うん。だから、なるべくタキオの左側にいた」

 何てこと。
 ニルノはがっくり膝をつく。
 まさかユニコーン号に乗る前から、それこそワルハラでタキオと再会した時から、ずっと、死の危険と隣り合わせだったとは。

 タキオは呑気に笑った。

「まあいいじゃねえか。結果オーライだ。ここから先の計画は、お前に話したのでもう全部だから」

 ニルノは顔を上げた。
 タキオは笑うのを止め、真剣な表情でこちらを見つめた。

「ビデオカメラは、あるな?」

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