突如現れた乱入者に、ユタの太刀筋は乱れ、ザネリは舌打ちと共に身を翻す。双方の刃が離れた隙に真ん中に立ち、 両手に握った拳銃をそれぞれに向けると、ヒヨは怒鳴った。

「人買いザネリ! テクラをどうした!」

 脂汗が浮かび苦しげなザネリの顔に、それでもどこか余裕を感じさせる、苦笑が浮かぶ。

「やれやれ。とんだ三つ巴だな」

「さっさと答えろ!」

 鬼気迫る表情で、ヒヨは双方に向けて発砲する。ザネリもユタも、素早い身のこなしで弾丸を避ける。ザネリは笑うように大きく 口を開けて、言った。

「悪いが、あいつには死んでもらった。邪魔だったのでね」

 ヒヨの一重目蓋が、大きく見開かれる。

 獣のような声を上げて銃を乱射する彼女の、その無軌道な銃弾を掻い潜り、冷静さを取り戻したユタが半月刀を振り下ろす。 曲線の刃は警官の制服を切り裂き、彼女の右腕の骨にまで達する。そこへザネリが、トレンチナイフを振りかざして飛び込む。 ユタは咄嗟に、半月刀を持っていない方の腕を直角に出し、トレンチナイフを受け止めた。

「二人とも、私に構っている場合かな?」

すかさずもう片方の手にナイフを出現させ、その手をヒヨに向かって振りながら、ザネリはにやにやと笑った。

「君たち二人とも、イオキが標的なんだろう。ほら、こうしている間にも、彼は殺されそうになっているぞ!」

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