税制、インフレーション、流通、医療、教育制度、労働環境。この半年、ミトは一瞬も休むことなく、ありとあらゆるものを改革し続けた。

 そして、手に入れたのだ。どんな美術品よりも美しい、この景色を。

 青地に白い馬を描いた紋章旗が、雲一つない晴天に翻るのを見ながら、ミトは深い満足の息を吐いた。

「……本当に、領主様には、感謝してもしきれません」

 その穏やかな吐息を聞きつけたのか、車を運転しながらコジマは微笑んだ。

「まさかこんな短期間で、ここまで変わるとは、思っていませんでした」

「いや、まだ課題は山積みだよ。都心は政策が浸透してきたが、地方はまだまだだ。 早急に都市間の交通網を整備し、流通を活性化させなくては」

 その為には、流通を妨げている原因、ユーラク国土の半分以上を占める砂漠に、道をつけなければならない。 それに、街に降る砂の問題も、根本的なところから解決しなければ。ワルハラ第二都市を覆うドームの技術が、役立つだろうか。

「……しかし、全てに道しるべはつけておいた。優秀な後継も見つけたことだし」

「ええ。ヌエル大佐は、前領主の時代から人民第一の政治を主張し続けた、立派な方です。きっとあなたの指示に忠実に従い、 政府を動かしていくでしょう」

 うん、と呟き、ミトはゆっくり目を閉じた。

「これでもう、この国での、僕の役目は終わった」

--------------------------------------------------
[796]



/ / top
inserted by FC2 system