いつの間にかオズマは魅せられたように息を止め、心なしかこちらに身を乗り出している。
 タキオは息を吐き、スプーンを手に取った。

「……以上だ」

「へ?」

「これで大体、奴らの実体が分かっただろ。『東方三賢人』は反グール主義組織の中で唯一、 時のグールを倒したと言う実績がある組織だ。三博士を失って形骸化したとは言え、そりゃあ危険視もされるさ」

「いやいや、ちょっと待てよ」

 オズマはテーブルを叩いて立ち上がり、カレーを口に運ぶタキオへ、詰め寄った。

「肝心要の部分が抜けてるじゃねーか。ぶっちゃけ、そこまでなら俺も知ってるわ! 俺が知りたいのは、その三博士の研究内容とやらだよ!」

「何だよ」

濃いマトンカレーを咀嚼しながら、タキオは半眼でオズマを見る。

「何考えてるのか知らないが、俺は、今話した以上のことは知らないぜ。今のは、ちょっとその方面に顔が利く奴なら、 誰でも知り得る情報だ。けど、『ネリダ博士の研究レポート』の中身まで、知るかよ。知っている奴がいるとしたら、 むしろ、この前のオークションで『ネリダ博士の研究レポート』を出品したお前らだろ。何処から見つけてきたのか知らんが」

オズマは早口に言った。

「あれは去年、『蟷螂』の奴らが見つけてきた。けど結局中身の暗号が解読出来なくて、ワトムの指示でオークションにかけられたんだ。 ワトムは『東方三賢人』が落札すると読んでいたが、案の定、リーダーのヒナウラ・オリザに落札された」

「噂じゃ、暗号の解読表は『東方三賢人』が持っているらしい。成程。これで『東方三賢人』が活動を始めた理由が分かったな」

タキオは投槍にスプーンを振った。

「奴らは『ネリダ博士の研究レポート』を解読し、グールを倒す方法を手に入れたんだ。中身が知りたきゃ、奴らに聞きな」

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