ロミたちは、懐かしい二階の居間に通された。居間は、ドーム型の天窓から差し込む陽光で、程よく温まっていた。 さらに中央のテーブルは、パッチワークの布団をかけたコタツに変わっている。
 ルツが紅茶を淹れる間、マリサを膝に乗せたロミは、ここにいるべきもう一人の人物が来るのを、そわそわと待った。 しかし、甘い紅茶の香りに誘われるようにしてやってきたのは、マリサの祖父だけだった。ルツが紅茶とケーキを盆に乗せて戻ってくると、 ロミは堪えきれずに尋ねた。

「あの…… レインは?」

 ルツが口を開くより早く、マリサが振り向いた。

「お兄ちゃんはね、セムの家にいるんだよ!」

「セム?」

テーブルにケーキを並べながら、ルツは微笑んだ。

「あなたたちがここを出て行ってから、こっちも色々あって……」

 そして、簡単に経緯を説明した。レインのことが新聞に載り、大騒ぎになったこと。ニルノと恋人の手助けで、エッダの家に逃げた こと。マリサの新学期が始まるので、レインだけ置いてこちらに帰ってきたこと。

 新聞記事の騒動の件を聞いたロミは、うつむいた。

「ごめんなさい。あれは、私がそのニルノって人に、不用意にレインのことを喋っちゃったからなの」

「気にすることないわ。あれは、何も考えず記事にしたニルノが、九十九パーセント悪いわよ」

 クリームを口の端につけたマリサが、嬉しそうに言う。

「それでね、今お兄ちゃんはセムの家にいるんだけどね、もうすぐマリサ冬休みになるから、そしたらお兄ちゃんを迎えに行くんだよ!」

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