頭のリボンは、タキオがクリスマスプレゼントにくれた物だった。マントのお金がプレゼントだと思っていたロミは、 クリスマスの朝、枕元に置いてあった箱に驚喜し、思わず彼に飛びついた。 箱から出てきたのは、黒のタフタを薄紅色の薔薇で結ったリボンだった。

 確かに少し派手ではあったが、今日の外出でそれを頭に飾るのに、躊躇いなどなかった。 この先、何度リボンを付けられる機会があるか、分かったものではない。

「お出かけったって、博物館だろ。面白かったか」

「うん。タキオは? またどこかのビルを壊してきたの?」

「人を怪獣みたく言うなよ」

 タキオはカレーパンを呑み込み、檸檬ジュースを飲んだ。

「オズマに呼び出されて、行ってきた。
 レインが見つかったそうだ」

 ロミの背後で、イオキが息を呑んだ。

 しかしロミは、その小さな音に気がつかなかった。棒立ちになった後、こけつまろびつ椅子に座り込んだ。

「無事なの」

 金色の瞳で、ロミはタキオを見つめた。

「安心しな」

 とタキオは笑った。

「生きてるよ」

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