ロミはタキオに抱きついた。嬉しさのあまり、声も出なかった。この喜びがタキオにも伝われば良い、と思っていると、 背中に大きな手が回された。

 体温と喜びが、爆発した。ロミはくしゃくしゃになった顔を上げ、叫んだ。

「良かった! 何処にいるの? 一人で? 迎えに行かなきゃ!」

「ちょっと落ち着け。無事は確認出来たが、そう簡単に迎えには行けねーぞ」

タキオは苦笑しながら食器棚に手を伸ばし、コップを二つ、取り出す。壜から檸檬ジュースを注ぐと、ロミの前に置き、 台所の入り口で立ったままのイオキにも「飲むか?」と声をかけた。

「大丈夫かイオキ。お前、顔色悪いぞ」

 イオキの顔色が悪いのはいつものことだ。それよりも、嫌な予感がする。レインの暗い出生、 その出生を理由に彼を襲った出来事が、次々と頭を過ぎる。ロミは、コップを持つ手に、力を入れた。

「どういうこと? ……また何か、酷い状況になっているの?」

「酷いと言うよりは、厄介な状況だな」

 タキオは頭の後ろで両手を組み、背もたれに寄りかかると、天井を見上げた。 そして、そこに書いてある見えない説明書を、読み上げた。

「あいつは今、アンブルにいる。『東方三賢人』による爆破テロに巻き込まれ、 倒壊した建物の中から、全身に火傷を襲った状態で発見された。今は軍の病院に収容されている。勿論、秘密警察の監視付きで」

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