キリエの威圧感に、火がついたようにテクラは飛び上がる。 「は、はい!」 慌てた口振りで、テクラは説明し出した。 「えっと、どこから説明すればいいのかな…… そう、アテナイ・ユーリは第二都市駅行きの切符を買ったという情報を聞いて、僕たちはすぐに、第二都市駅に設置されている監視カメラの映像を見たんです」 「監視カメラ?」 腕を組んだまま、キリエが言う。 「そんなものがあるんですか」 「はい。知ってるかもですけど、このクレーター・ルームは十年前まで、日照時間が極端に短く、少しの雨で水没してしまうという、悪環境にあったんです。その上、この閉鎖空間ですから、まさに犯罪の温床だったんですよ。領主様が都市整備される時に、主だった犯罪組織も一掃されたんですが…… なかなか根は深くて。実はまだ、地下で犯罪者たちが多く活動しているんです。 それで、一般人には秘密ですが、いくつかの重要な施設には、監視カメラがついてます」 納得したようにキリエは頷く。 テクラは続ける。 「第二都市駅の監視カメラで確認出来たのは、イオキ様を抱えたアテナイ・ユーリらしき人物が、構内から出ていく映像のみでした。 第二都市に出入りするには、列車か車しかないですから、僕たちは彼がまだ第二都市内にいると言う結論に達し、キリエ様が来る少し前から捜索を開始していたんです。 そして今、仲間から彼を発見したと言う報告がありました」 「イオキ様は一緒ですか?」 「いいえ。アテナイ・ユーリ一人だけだそうです」 キリエの赤い瞳が、光った。 「場所は?」 「それは……」 テクラは言い淀む。 -------------------------------------------------- |