その一言で、胸のつかえが、転げ落ちた。 「あんなやり方、酷いよ!」 海の方を見たまま、ロミは、激しい口調で言った。 冷静に話したかったが、いざ声を出してみると、岩崩のように言葉が転がる。 「あんな、あんな…… 何も言わないで! 一方的に!」 タキオは冷静だ。 「でもお前、残れと言ったら、絶対に首を振らなかっただろう」 「当たり前だよ! 一緒に行くって、言ったじゃない! こんな足の速い、特別な使鎧を付けたのは、何の為? グールと戦う為でしょ?」 「違う。前にも言っただろう。足を速くしたのは、いざと言う時、逃げる為だ。 足が速いだけじゃ、グールと正面きって戦うなんて無理だって、お前も分かっているだろう」 「でも、タキオを手伝うことは出来るじゃない! ユニコーン号の時みたいに!」 「ユニコーン号は、あくまで敵が人間だった。グールの強さは、人間とは比較にならない。 ロミ。お前が一番良く分かって……」 「つまり」 ロミは震える息を吸い込んだ。 -------------------------------------------------- |