くそ、とタキオの脳内に、舌打ちが響く。首が、使鎧に繋がる頸動脈が、圧迫されていく。動きたくとも、動けない。 脳の血管が膨張していくような苦しさと共に、エナの誕生日パーティで転がっていた絞殺死体が思い出される。

 冷や汗がこめかみを伝った瞬間、糸が緩んだ。

 瞬間、タキオは万力を込め、繭を打ち破った。見ると、薄れゆく煙の中で、ナギの体が、傾いでいた。 背後から彼に蹴りを喰らわせたのは、ロミだ。すかさず反撃が来るが、タキオに教え込まれた素早い動きで、 難なく逃れた。

 そこへタキオは、飛び込んだ。

「ご心配なく。もっと便利な奥の手を、更に仕込んであるからよ」

「ユニコーン号の時のように、爆弾でも? ふふ、馬鹿な」

 鋼と糸がぶつかり合う合間に、ニィナとナギの喚き声が混ざる。

「馬鹿野郎! 仕込んでいるなら先に言え! 思いきり吸っちまったじゃねえか!」

「ナギ! 知っていたなら先に言いなさい!」

 馬をも一撃で肉塊に変えん拳、蹴りの数々は、悉く糸に遮られる。 木の根のように足を転ばせ、蛇のように首に巻き付いてくる、無数の糸。 そして、一瞬一瞬の隙をついて抉ってくる、ニィナの弾丸やサーベル。 最強の鋼の体を持っている筈なのに、何もかもままならない。まるで、逆巻く海か、醒めぬ悪夢の中で戦っているようだ。

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