タキオとニィナたちの戦いに、何も出来なかった。

 何度か彼を窮地から救えた、と思えた一瞬もあったが、後はただ、己の身を守るのに必死だった。
 そう泣き言を漏らせば、「上等だ」と彼は笑ってくれただろう。 しかし彼女は、「あなたを手伝いたいから」の一言で、無理強いしてついてきたのだ。止められたにも関わらず。


 それ見たことか、と涙より先に、罵りが全身を打つ。
 そんな力もない癖に、ないと分かっていた癖に、結局いつも、足手まといになって。



「ロミ! オズマとダイを連れて、逃げろ!」



 ロミははっとして足を止めた。

 ニィナに顎の下を食い千切られたタキオが、鮮血を盛大に垂らしながら、怒鳴った。 見た目に反し、その声には威勢がある。ニィナのこめかみを殴りつけ、蜘蛛の巣の方へ吹き飛ばしながら、タキオは更に叫んだ。

「全速力で地上まで駆け上がり、船でここから離れるんだ!」

 駆け寄ろうとしていた道半ばで立ち止まり、混乱し、ロミは震える声で呟いた。

「で、でも……」

「いいから、早く!」

「でも、タキオは?」

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