タキオは静かに、力強く言った。

「もしグールと戦いたいと思っていて、でも勇気が出なくて足を踏み出せない奴は、俺に続いてくれ。 道は俺が作っておく。女王を殺せば、もうグールは増えない。あと七人、倒すだけだ。

 世界を変えるなんてな、俺独りじゃ、無理なんだよ」


 ロミは、走り出そうとした。その体を、オズマが後ろから羽交い絞めにした。

「離してよ!」

「やめろ! 危険だ!」

 ロミは叫んだ。

「知ってた癖に、協力したの? タキオがこうするつもりだったって!」

 負けじと、オズマも怒鳴り返す。

「お前も、どっかで分かってたはずだ!」


 二人の足元に、亀裂が入る。深海の部屋は、今や上も下も亀裂に包まれている。破片が降り注いでいる。いつ全体が砕けても、おかしくない。


 降り注ぐ破片の中で、タキオは一息入れると、カメラを見て晴れ晴れと笑った。


「おい、見てるか、親友。お前と一緒に此処まで来れて、良かったよ。 お前と友達になれたことは、俺の人生の中でも一、二を争うくらい、良いことだった」

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