ダイがカメラをタキオの方に戻し、そして、床に置いた。 最後にカメラが映したのは、全世界の人々が見た物は、瓦礫の向こうに消えていくタキオの姿、 そして、ヒビ入った箇所から砕け散る部屋、雪崩れ込む海水、暗転する画面だった。 ロミの足元で、階段が砕けた。オズマとダイが悲鳴を上げ、ロミにしがみついた。 ロミは踵を返し、走り出した。地上に向かって。 深海か水上まで、階段を駆け上がりきるのに、三十秒もかからなかった。 階段を抜けると、水晶小島の振動に恐れをなしたボートが、岸を離れようとしているところだった。 そのまま一歩も止まらず、岸から跳躍し、ロミはボートに飛び乗った。 「ああ、助かった……」 ロミの手を離れてボートの中に転がり、ダイが涙混じりに呟く。 その頭を、オズマが叩いた。 その視線の先を追うと、ロミが、金色の足も露わにボートの底に身を投げ出し、泣いていた。 -------------------------------------------------- |