厳しい修行を己に課し、根無し草の旅を続け、人殺しの荷を分かってきたのは、復讐の為などではない。



 そうまでしても、一緒にいたかったから。

 あなたとずっと、一緒に行きたかったから。



 それ以外に理由なんて、あるわけないじゃない。






「私に相応しい、幸せな道なんて、他に無いよ……!」






 嗚咽の合間に漏れた言葉は、大人たちの誰にも、聞き取れなかった。



 最後の振動と共に、水晶の搭が、海面下に沈んでいく。巨大化していく波に押され、ボートが木の葉のように揺れる。
 オズマは苦い顔のまま、ロミから目を逸らすと、無言で顎をしゃくり、部下たちに「出せ」と命じた。

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