新聞に書き立てられクレーター・ルームから逃げなくてはならなくなった時も、エッダの農場で子供たちに狩り立てられた時も、 ネモたちに殺されそうになった時も、アンブル秘密警察に捕らえられた時も、生まれなかった感情。


 それは、金色の火のように燃え上がり、深い緑の森のように、瞬く間にレインの全身全霊に茂った。


 レインは吼えた。心の底から、全ての人々に向かって。

 驚いて腕を緩めた人々を突き飛ばし、猛然と走り出した。 元より毒で弱っている彼らは、レインの雄叫びで腰が抜けたようになり、立ち上がれない。 しかしそれでも、警官始め何人かが、追いかけてきた。 レインは作業用エレベータに飛び乗り、昇降ボタンを押した。 上昇を始める鉄の箱に、一人の警官が、飛びついた。

 レインは箱の奥に逃れ、箱の隙間からこちらを睨んでくる目を、引き攣った表情で見つめた。

「お前が人間農場から逃げ出しさえしなけりゃ」

 と、宙に足を浮かせながら、警官は喚いた。

「こんなことにはならなかったんだ。俺たちはずっと、平和に暮らせていたんだ!」

 同時に、エレベータがオーツの中腹に到達し、箱が開いた。

 レインは急いでエレベータから出ると、アイの言っていた六番の印を探した。 しかし、それが見つかる前に、箱の外からオーツへ飛び移った警官が、こちらに追いついた。

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