裸電球に照らされたメスがキラリと光り、マリサが怯えたようにロミにくっつく。
 「大丈夫だよ」と言いながらロミが反対側のレインを見ると、レインも表情を強張らせながら、こちらへ身を寄せてきていた。
 ロミは笑って、二人を抱き寄せた。

「あ、ごめんごめん」

 そんな子供たちの様子に気づき、ルツは慌ててメスをしまうと、タキオを見上げて言った。

「あとね、これと同じような箱が、五つくらいあるはずなの。他にこれと同じ蜜柑の箱、ない?」

 ――三十分後。

 ようやく全ての箱を揃えたタキオは、憮然とした表情で言った。

「何で同時期にしまったものが、あっちやこっちから出てくんだよ?」

「ご苦労様。何か飲むものいる?」

「いや」

タキオは首を振った。

「それより、早くあんたのお手並みを拝見させてくれ」

「そうねえ…… じゃあ、まずは何から始めましょうか?」

 すると、ロミが元気な声で言った。

「レインの左手!」

 ルツはにっこり笑った。

「じゃあ、そうしましょう。タキオ、あの子たちが座ってる作業台、こっちへ持ってきてくれる?
 レインはこっちへいらっしゃい」

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