そう言うと、ルツはどん、と自分の胸を叩いた。

「安心して! おばさんに任せてくれれば、タネ無し手品だって出来ちゃうような、凄い使骸を造ってあげるから」

「あの〜」

 とタキオが声を上げる。

「そいつのは、そんな凄くしなくて、いいからな? こっちにも予算ってもんがあるし……」

「何よ。あなたの使骸に使うお金を、回してあげればいいでしょ。 言っときますけどね」

びし、とルツは人差し指を立てた。

「あなたの方は、相当お金がかかるわよ。私は割引サービスとか、しませんからね」

「んなこた分かってるよ。幾らくらいになりそうなんだ?」

「そうねえ……」

ルツは思案した。

「ま、少なく見積もって、三千万ってとこね」

「さ……」

 タキオは叫んだ。

「三千万? あんた、どこぞの無免許医師だよ! 安旧(アンブル)のモグリの使骸職人に造らせたこれだって、一千万しなかったんだぞ! 材料費を考えたって、使骸が普通に流通してるワルハラなら、アンブルの半分以下で済むだろーが!」

ルツは平然と言った。

「あなたの希望してるスキルを備えようと思ったら、これくらいになるわ。これはあくまで最低価格だし、ロミちゃんのも合わせて考えると、五千万くらいになるかも知れないわね。あとうちは、完全前払い制ですから」

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