「いくらなんでも、そんなに払えねーよ! せめて一千万!」

「無理」

「一千五百!」

「駄目」

「……!」

 タキオは口を開けたまま、その場に立ち尽くしていたが、やがてくるりと踵を返した。

「帰るぞ、ロミ」

「えっ」

「よく考えりゃ、あんたじゃなきゃ駄目ってこたあないんだ」

はっ、とタキオは言った。

「あんたよりもっと腕が良くて、料金の安い使骸職人を探すよ。ワルハラなら、腐るほどいんだろ。世話になったな」

「そんな職人、いないわよ」

 静かにルツは言った。
 タキオは振り向き、ルツをねめつけた。

「こういうのはどう?」

 ルツは言った。

「レインの使骸は、タダで造ってあげる。ついでに、造っている間に、他の使骸職人を探せばいいわ。そうすればきっと、あなたも納得するから」

 子供たち三人は、固唾を飲んで事の成り行きを見守った。

「……随分自信があるんだな」

 やがて、タキオは言った。

 ルツは微笑んだ。

「ええ」

 タキオはため息をついた。

「……分かったよ。とりあえず、こいつの使骸の出来映えを見せてもらおうじゃねーか」

 ロミが喜びの声を上げる。

「良かったね、レイン!」

 やり取りの意味が分からないレインは、ただ首を傾げた。
 その後ろで、タキオは忌々しげに鼻を鳴らした。

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