「よう」 と、その時、三人の後ろから女の声がした。 テクラはぱっと振り返った。 「翡予(ヒヨ)さん!」 襟足を長く伸ばしたベリーショートヘアに、切れ長の一重目蓋が印象的な、すらりとした女が、煙草をくわえて立っていた。 「早かったじゃねーか」 にや、と笑いながらヒヨは言い、キリエを見た。 「そっちが、例のキリエさん?」 「あっ、はい。ついてこない方がいいって言ったんですけど、脅され… いや、どうしてもって言うんで。 あっ、キリエさん、こちら同じくレッド・ペッパーで、僕の先輩のヒヨさんです」 どうも、とヒヨは軽く会釈した。キリエも無言で会釈を返した。 「アテナイ・ユーリは?」 トマが尋ねた。 「今、仙堂薬店の中。あたしはあそこの店主に顔が割れてるから、具嶺雄(グレオ)が張ってる」 ヒヨは煙草の煙を吐き出した。 「今のところ、アテナイ・ユーリはただ薬を買ってるだけみたいだけど…… どうする?」 「……彼が外に出てきたところを取り押さえよう」 ボソボソとトマは言った。ヒヨは頷いた。 「だな。アンダー・トレインの中じゃ、色々厄介だし」 その時、レッドペッパーたちの無線機が、振動した。 -------------------------------------------------- |