二人は鉄骨を上った。上りきった先は、レールの上だった。

 青天。

 キリエの頭上に、数時間ぶりの青天が広がる。

 しかし仰いでいる暇はない。第二都市駅の方から、貨物列車が近づいてくる。

「何考えてるんだ! 死ぬぞ!」

 レールの縁にキリエを庇うようにして立ち、テクラは叫んだ。

 ザネリはユーリを連れ、ほとんど列車に接触しそうな場所に立っていた。
 遠く彼の背後から、近づいてくる列車。
 不敵に笑うザネリの横で、信号機の色が変わる。

「この時間にここを通る貨物列車はな!」

 ザネリは叫んだ。

「この場所で一度、減速するんだ!」

 その声は、列車のブレーキ音にかき消された。

 テクラは、目を見開いた。

 轟音に混じる、ピーッという甲高い音。車輪から放たれる熱気に、焼けつくような匂い。一瞬にして視界を埋める、黒い車体。

 ザネリの後ろを通過していく列車のスピードが、がくんと落ちていく。

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