「!」

 三人の間に、緊張感が走る。

『しかも…… まずいぞ。アンダー・トレインの奥の方へ向かってる』

チッ、とヒヨが舌打ちした。

「ザネリの野郎、ユーリを『商品』にするつもりか? だとしたらまずいな……」

 テクラはすっかりパニックになった様子で、オロオロと、トマやヒヨを見た。

「どっ、どうするんですか?」

「アンダー・トレインの奥には、住人しか知らない秘密の抜け道や出入口が、いくつもあるからな」

とヒヨは言った。

「今ユーリを見失うのはまずい。最悪、このままあいつが『商品』としてアンダー・トレインに飲み込まれちまったら、イオキがどこにいるか分からない状態のままになっちまう」

 すると、それまで黙っていたキリエが、すっ、と動いた。

 はっとしてテクラが振り返ると、キリエはアンダー・トレインに向かって歩いていく。

「どっ、どこ行くんですか!」

慌ててテクラが駆け寄ると、キリエは静かな目で彼を見下ろした。

「決まってるでしょう。アテナイ・ユーリを追うんですよ」

「駄目ですよ! 危険過ぎま……」

「だったら」

 周囲を凍りつかせるような声で、キリエは言った。

「あなたたちが、さっさと追えばいいでしょう。軍人と言う肩書きは、ただの飾りですか?」

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