ルツの家の電話を借りて、タキオは電話をかけていた。

 相手が出るのを待ちながら、タキオは周りを見回した。
 玄関から台所へ続く廊下には、タキオの他に誰もいない。物音の一つもしない。

 呼び出し音が途切れた。
 タキオは軽く咳払いした。

「あー、もしもし? 俺だ。
 ……ああ、さっき第二都市に着いた。 ……使骸職人な、一応、会えたが…」

タキオはコキ、と首を捻った。

「まあ予想外っつーか…… 職人ギルドに所属してない天才使骸職人って言うから、どんな変人かと思ってたけどよ…… 予想の斜め上を行ってたわ」

はあ、とため息をつく。

「正直、苦手なタイプだ。 ……一応、造ってくれるって話になって、今、工房に行くとこなんだが……」

眉をしかめ、ぼりぼりとタキオは首の後ろを掻いた。

「なーんか、不安っつうか、心配なんだよなあ。
あの『意地悪母さん』が、このまま素直にこっちの言う事に従うとも思えねーし…… 第一、本当にそんな凄い使骸職人なのかも、まだ分かんねーしな」

相手が何か言い、タキオは笑った。

「うるせーよ。
 そろそろ切るぞ。また連絡する。
 ……お前も、しっかり準備しとけよ」

 電話を切ったタキオは、いつの間にかレインが側にいることに気づき、「うおっ!」と飛び上がった。

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