「本気か」

「他に五千万もの大金、稼ぐ方法があるかい? バックにちゃんとした組織がついてるテロリストと違って、俺たちには資金源がないんだから」

「一千万の賞金首と言ったら、それこそエイト・フィールドの幹部クラスだろ。居場所を突き止めることだって難しいぜ」

「そこは俺に任せろ。俺がお膳立てしてやるから、君はその使骸の腕で、首をぽーんと取ってこい」

「簡単に言うなあ」

そう言うタキオの顔は、ニヤニヤ笑っている。

「不可能を可能にするんだろ」

眼鏡を光らせ、ニルノもニヤリと笑う。

 タキオは腰に手を当て、夜空を見上げた。

「ま、とりあえず、やってみるしかねーな」

 よし! とニルノは、傘を持った腕を振り上げた。

「そうとなれば、善は急げだ。早速明日、会社で賞金首について調べてみるよ。君、今日は第一都市に泊まっていくんだろ?」

「いや、このまま夜行で帰るつもりだったけど……」

「何言ってるんだ。いちいち調査結果を電話で報告するのも面倒臭いし、今日は泊まっていけ! 俺の部屋貸すよ! …あ」

 そこで、ニルノはしまった、と言う顔をした。察して、タキオはニヤニヤ笑った。

「彼女か」

「そ、そんなんじゃないけどさ。今日は悪いけど、駅前のホテルにでも泊まってくれないか?」

「了解」

 タキオの胸の中に、ロミの顔がよぎった。あいつらに電話しねーとな、ビニール傘を差しながら、タキオは思った。

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