「泣き顔、見られたよう」

 恥ずかしさで身悶えするロミをよそに、レインはすやすや眠り続ける。頭上のドームから降り注ぐ、早朝の淡い光が、彼の顔を優しく照らし出す。

 ロミは身悶えするのをやめ、レインの顔をまじまじと見た。

 普段は漆黒の瞳の印象が強すぎるのだが、こうして目を閉じた顔を眺めると、意志の強そうな眉や、まっすぐ結ばれた口元など、どことなく兄に似ている。特に眉間など、やや気難しかった兄にそっくりだ。

 そんなことを思いながら、ロミはレインの右手に、意識を集中した。

 外見だけなら、レインの方が年上に見えるかもしれない。けれど、彼の中身はまるで赤ん坊だ。
 レインが、タキオの言葉を少しずつ理解し、ロミの行動をぎこちなく真似る様は、赤ん坊が成長していくのを見ているようで、微笑ましい。


 そんなレインを見守り、導き――


 そんなレインが、私に――


 ロミは微笑む。

 悪夢の残り香は次第に薄れ、代わりに幸福な気持ちが、胸の内に満ちる。

 この、胸がうきうきするような感じは、何だろう。まるで胸の中で、小さい白い兎がピクピク鼻を動かしているようだ。

 それになんだか、レインが少し格好良く見えるのは、光線の加減だろうか?

 ロミの金色の瞳が、猫のようににんまり細まる。

「起きろ!」

 ロミはレインの右手をギュッと強く握った。
 レインは五月蝿そうに眉をしかめ、目を開けてロミを見た。

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