「……じゃあ、その『女王』を殺さない限り、グールは増え続けるんだね」

 静かに目を光らせて、ロミは顔を上げた。
 その、燃える金色の瞳に、鋼のごとき灰色の瞳がぶつかる。

「……よく考えろ」

 低い声で、タキオは言った。

「お前の仇は、もういないんだ」

 ロミは、ぐっ、と奥歯を噛みしめた。

「だとしても」

食いしばった歯の間から、一筋の血のように、言葉が滴り落ちる。

「私は、タキオと一緒に行くもん」

 レインはロミの隣に座り、じっと彼女を見つめていた。

 目を合わせなくとも、ロミはそれを感じ取れた。彼が、昨夜と同じ、静かな表情でこちらを見ていることくらい。

 昨日の夜と同じ色のはずなのに、まるで哀れむかのような、その瞳。
 間にマリサがいないにも関わらず、ずっと遠く感じられる、その姿。


 冷たい雨が、一滴、また一滴と、炎へ落ちていくよう。
 ロミは泣きたいような気持ちで、必死にそちらを見ないようにした。


 すると、タキオが舌打ちした。

「分かった。どーせ、そう言うと思ったぜ」

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