「ユーラク? ふうん…… で?」 ニルノはガシッとタキオの腕をつかんだ。 「だから早まっちゃ駄目だ、タキオ! 今、五百の城でテロを起こしても、意味はないぞ!」 「アホか!」 ゴン! とタキオはニルノの頭を殴った。 「んなことデカイ声で叫ぶんじゃねーよ! つーか、テロなんて考えてないわ!」 「え、そうなの?」 ニルノはタキオを見上げると、ホッとしたように笑った。 「なーんだ。俺はまた、君が五百の城に乗り込んで、ミトを暗殺するつもりなのかと思ってさ」 あっはっは、とタキオは無表情に笑い返す。 「あのな、俺はな。駅に着いたらいるはずの迎えがいなかったから、仕方なく、そいつの務めてる新聞社まで行く途中だったんだよ」 「え? 職場に来るつもりだったのかい? それは困るよ。君みたいなテロリストと繋がりがあるなんて、会社に知られたら……」 「じゃあ、ちゃんと駅に迎えに来い!」 ゴン! と二度目の拳骨で、ニルノはようやく大人しくなる。 タキオははあ、と息を吐き、五百の城を見上げた。 「……噂には聞いてたが、初めて見たな。これが、前のワルハラ領主が、刃向かう人間を見せしめに尖塔に突き刺したって言う、悪魔の城だろ? さすがに、おどろおどろしい感じがするぜ」 -------------------------------------------------- |