「死んでやる、死んでやる」

呟きながら、ロビタは額を打ち続ける。


 死んでしまえ、とユーリは思った。


 そうすれば、俺は殴られなくて済むし、誰もお前の醜い顔を見なくて済む。お前は苦痛から解放される。

 分かってるじゃないか。

 お前に生きている価値なんか、ない。


 そう言いたくてたまらないのに、言葉が出てこなかった。
 ユーリはロビタを見つめながら、ぼんやり思った。


 けれどそれは、俺も同じじゃないか?

 言葉が出てこないのは、自分がこの男に、同情しているからだ。同情しているということはつまり、この男に共感しているからだ。


 この男に「死ね」と言えるくらいの価値なんて、きっと、俺にはないからだ。


「……お前がいなくなったら、ザネリが困るだろ」

 ユーリは呟いた。

「お前、ザネリの片腕なんだろ」

 ゆっくりと、ロビタは振り向いた。

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