「まさか」

 ミトは即答し、コンが差し出してきた手を握った。

「しばらく見ない内に、とても大きくなっているものだから。それに、眼鏡をかけるようになったんだね」

もうすっかり大人になった手で、コンは力強くミトの手を握り返した。

「成長期ですから。視力も急に落ちちゃって」

「眼球や視神経は再生能力が低いのだから、気をつけないと」

「そうですね。ヒューゴみたく片目にはなりたくないですし」

コンは軽やかな動作で、後ろの方に立っている、もう一人の少年へ振り向いた。

「僕はまだまだ成長が止まりそうにないし、その内外見年齢は、お父さんを超すかもしれませんね。 少なくとも、今じゃもう僕の方が完全に、ヒューゴのお兄さんだ」

「誰がお前の弟だ!」

 ヒューゴは歯を剥き出した。確かにその見た目は、誰が見てもコンより年下、せいぜい中学生くらいにしか見えない。 中学生にしても小柄な体格で、腰の辺りまで、アッシュグリーンの髪が尻尾のように伸びている。

「くそ、どいつもこいつもにょきにょき伸びやがって」

「どうでもいいけど、ヒューゴ、あなた、その格好は何なの」

 美しい眉をひそめて、モギが口を挟んだ。小さな顔の右目に、不似合いな黒い眼帯をつけ、虎のような黄色い瞳でヒューゴは振り返った。

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