「僕たちグールって、いつの間にこんな数が減ったんでしたっけ」

「十六夜(イザヤ)は出席しないと連絡があった。ヨミネは来たが、これを僕に渡して、帰ってしまった」

ミトが奥の部屋へ向けて歩き出すと、一緒に歩き出しながら、コンはやれやれと首を振った。

「相変わらず、協調性に欠ける人たちですねえ。協調性は大事ですよ。そう思いませんか?  蟻みたいな人間だって、協調性を発揮すれば、徒党を組んで蟷螂くらいの強さにはなるんですから。
それはそうと、イザヤさんが来ないのはともかく、何だってヨミネはわざわざ来たのに帰ったんです?」

「具合が悪いので、イオキを連れてこなかったんだ。そしたら、怒って帰ってしまった」

「え?」

後ろから、ヒューゴの声が上がる。その横で、モギが微かに緊張するのが伝わる。

「イオキの奴、来てないのか?」

「それは残念ですね」

さして残念でもなさそうにコンは言った。

「唯一の、僕の本当の弟なのに」

 ミトはちらりとコンを見た。周囲の大理石から放たれる、真珠を溶かしたような光の中で、コンの表情はどうにも掴み難かった。

「そうか…… 来てねえのか……」

 とヒューゴの呟く声が聞こえた。

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