三人を連れ、ミトは二列の円柱の先にある、奥の部屋の扉を開けた。 そこにあったのは、神殿のような空間とは打って変わって、あばら家かと思うほど暗く、狭い小部屋だった。正面には小さな暖炉があり、 中の火が部屋を照らし出している。装飾と言えば、暖炉の上に掲げられた、すっかり色褪せた十字形の板絵のみ。 石を積み上げて造られた壁は今にも崩れ落ちそうだ。 神の棲む白い無限から、突然この世の最下層に迷い出たような、貧相な部屋。それでもある意味、その部屋には、白亜のホール以上に、 異様な雰囲気が漂っていた。 その理由は、部屋の中央に置かれたテーブルの上の物にあった。 部屋に入ったミトは、暖炉の炎を背に上座に座り、他の三人もそれぞれテーブルの四辺に 座ったのを確認すると、テーブルの上の物を眺めた。 「美味しそうですね!」 とコンが舌なめずりするように言う。ヒューゴはあまり関心がなさそうに 「いくら美味そうでもなあ…… 自分の手で狩ったのじゃなきゃ、イマイチ喰う気が起こらないぜ」 「ヒューゴってば、根っからの狩人気質だからね」 「二人とも、私語は慎みなさい。これは神聖な儀式なのよ」 とモギが注意した。 「それに、これは死者への供物。美味しいとか美味しくないとか、そういう問題ではないの」 「でもこれ、お父さんが『人間農場』から選んで連れてきたんでしょう?」 -------------------------------------------------- |