「あなたの書く記事が、より良い世界への変革の、きっかけになればいいと、心から願っているわ。 私たちを助けてくれて、本当にありがとう」

 朝日の中で、ルツの瞳は、キラキラと輝いていた。

 ニルノは何か言おうとしたが、言葉が出ないようだった。そんな彼の背中をアイが叩き、二人は車へ戻った。

 レインはルツと共に、天道虫のような軽自動車がくるりと弧を描き、牧場の外へ鼻先を向けるのを見ていた。 アイが運転席から手を振り、レインは振り返した。そして車が道へ出ようとした瞬間、ニルノが突然、助手席から体を乗り出した。

「ルツさん!」

 ニルノは叫んだ。

「どうしてあなたは、そこまでして、レインを助けようとするんですか?」

 レインはルツを振り仰いだ。ルツはおかしそうな顔で答えた。

「あなたの取材には、金輪際答えないと言ったでしょ!」

「取材じゃなく、純粋な質問です!」

 車はどんどん遠ざかっていく。ルツは笑って、手でメガホンを作り、叫んだ。

「そんなの、決まってるでしょ!」

 レインはルツを見つめ、答えを待った。

 丘へ向かって、ルツは叫んだ。

「レインが好きだからよ!」

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