と言っても、この先三日間の作戦も、似たり寄ったりの出たとこ勝負ではあるのだが。

「全く、こんな調子じゃあ、この先命が幾つあっても足りないよ」

 まだぶつぶつ言っているニルノを笑おうとして、タキオははっとした。

 人の声だ。
 咄嗟にタキオはニルノの口を塞ぎ、声がする方を窺った。

「何だ、爆発か?」

事故の騒ぎを聞きつけたのか、水兵服の船員や、制服を着たパーサーたちが、船楼から出てくる。次いで上から声がした。

「おい、何があったんだ!」

 騒ぎ立てる海鳥たちの向こう、マストの上の見張り台から、明らかに船員でもホテル従業員でもない黒服が、こちらを見下ろしている。
 タキオと共にその姿を見つけたニルノは真っ青になった。ロミが呟いた。

「あれ、エイト・フィールドだね」

 嫌な沈黙が、三人の間に下りる。

 大丈夫だ、と二人を安心させるつもりで、タキオは笑ってみせた。

「ああいう風に尋ねるってことは、こっちを見ていなかったってことだろ」

 タキオの手を無理矢理口から引き剥がし、「馬鹿!」とニルノは囁き怒鳴る。

 ま、とりあえず潜入成功だ、と人が増えていく甲板を見ながら、タキオはため息混じりに呟いた。

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