千六百万の賞金首である『蠍』のジュアンが、他にもその首に賞金のかかった部下たちを連れて、
広間に飛び込んでいく様子。『蝮』や『蝿』のボスたちが広間で怒鳴る声。そして、彼らが広間に閉じ込められる瞬間。 タキオがエイト・フィールドの賞金首たちを獲ったという証拠映像を残すこと。 それが、今回の計画における、ニルノの役割だった。 沈没したユニコーン号からは、彼らの死体が見つかるだろう。その事実と共にこのテープを見せれば、タキオが彼らの首を獲ったのだと言う、 十分な証明になる。 同時にユニコーン号を沈没させた容疑もかかるだろうが、その確たる証拠はないし、何よりこれはレトーでの事件。 エイゴンの警察には関係のないことだ。 ロミは大事そうに、テープをポシェットの中に入れた。 「お前のお陰だ」 とタキオは笑った。 ニルノは笑わなかった。 タキオの笑いも、すぐに消えた。その代わり彼は、灰色の瞳でニルノを見つめた。 ニルノは眼鏡の奥から、その瞳を見つめ返した。 高校生の時から変わらぬ、鋼鉄の色をした瞳。 この瞳と共に語らった多くのこと、多くの場面が、遠く記憶の彼方から、波のように押し寄せてくる。 -------------------------------------------------- |