レインははっとした。

 遠く厩舎から聞こえてくる、羊の鳴き声。たちまち声は増えて合唱になり、そこに牛の鳴き声が重なる。そして、犬の吠える声が。

 扉を押していた少年たちは凍りつき、見守っていた少女は青くなって振り向いた。

「やだ、人来るわよ!」

「やばい、逃げろ!」

 と、同時に、扉が壊れた。破壊された板と共に、三人の少年が、つんのめるようにして、石塔の内側に倒れてくる。一人重なり、 二人重なり。レインは獣たちの声を聞きながら、少年たちを見下ろした。

 そして一人が顔を上げ、壊れた扉から差し込む光に照らされた、レインの顔を見た。

「あっ……!」

 一番上に重なった少年が、引き攣った表情で、声を上げた時

「何やってんだよ!」

 犬が激しく吠え立てる声と共に、セムの大声が聞こえた。

 少年たちは急いで起き上がりながら、外に向かって、叫んだ。

「お前、やっぱり、隠してたんじゃねえか!」

「放っとけよ!」

とセムは怒鳴った。

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