「ん〜、良い体だ」

 シャツを身につけていなかった為、ジャンパーの下は裸だった。現れた鋼の体を見て、ワトムは満足そうに頷くと、 気色の悪い猫撫で声で続けた。

「アンブルの職人に造らせたそうだな」

 タキオはぶっきら棒に「ああ」と答えた。

「グールの肉体と比べても遜色ない程の硬度だとか」

「ああ」

「それでうちの幹部連中を、懸賞金目当てに殺したとか」

「ああ」

「どうしてそんなに金が必要なんだ」

「あんたにゃ関係ないだろ」

 突然、ワトムは激昂した。

「質問に答えろ、馬鹿!」

 投げつけたジュースのグラスは、ワトムの頭上に垂れ下がっていたブーゲンビリアの花を揺らし、タキオの足元で粉々に砕けた。 破片が飛び散り、隣のロミがびくっと体を震わせた。するとワトムは、再び猫撫で声で

「おお、お嬢ちゃんを怖がらせるつもりはないんだよ。おお、おお、震えて可哀想に。美味しいジュースを飲むかい?」

 すぐさまビキニ美女が、よく冷えたパイナップルジュースをロミに渡す。ロミは受け取ったものの、その顔は真っ青に凍りついている。

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