三枚の超重量シャッターに分断された密閉空間が、爆発した。

 衝撃で、T字路突き当たり正面の壁が、崩落する。何が起こったかも理解出来ないうちに、爆風で、 タキオはその穴から外へと吹き飛ばされた。

 突き当たり正面の向こうには、何も無かった。零下何十度の空気と、夜空しか。

 マジかよ。と瓦礫と共に、文字通り宙を舞いながら、タキオは唖然とした。要塞の外壁一部を、仲間もろとも吹き飛ばすとは。
 しかしその時、巨大な鳥の影が、上方から舞い降りてきた。鳥は器用に瓦礫の雨を潜り抜けると、 落下していくガロウを、鉤爪のついた足で引っ掴んだ。

「感謝しなさいよ、ガロウ!」

 耳鳴りと轟音の中で、女の甲高い声が響く。

 よく見ればそれは、腕の代わりに翼が生えた人間だった。秘密警察の制服を纏った女は、ガロウをぶら下げ、 甲高い笑い声を上げながら上空へ戻っていく。すると、入れ替わるようにして、さらに二人が現れた。

「あたしらにここまでさせたのは、あんたが初めてよ」

「けど残念ね。バイバーイ」

 けたたましい笑い声が、降り注ぐ瓦礫や爆薬の匂い、周囲を旋回している戦闘機のサーチライトと共に、タキオを包む。

 タキオは、くそっ、と歯を喰いしばった。

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