酷い手紙だ、とレインは思った。訳の分からぬ文章を書き連ね、こんな変なことを言って。 ルツはさぞ不愉快に感じたろう。気味の悪い奴、恩知らず、と思われただろう。

 でも仕方がない。これが、自分の正直な気持ちなのだから。


 居たたまれず目を逸らそうとした時、ルツが言った。


「……あなただけじゃないわ」


 レインは再び、目を上げた。


 ルツの顔は、とても優しかった。


「多かれ少なかれ、皆、あなたと同じ不安を抱えているわ。私もそうよ。 ロミやタキオや、きっといつかは、マリサだって。

 生きていること自体が、たまらなく怖くなる。
 どこにも行けない。明るい筈の世界が、目を閉じたら真っ暗で、周囲を手探りしても何も無い。そんな瞬間が、永久に続くような気がする」


 ルツの声はとても優しく、震えそうになるのを、堪えていた。


「皆、そういう不安を抱えて、生きているのよ」


 レインは唇を開いた。

 微笑みながら、ルツはレインの頬に、片手で触れた。

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